サクラの研究〔2〕 -サクラの原種と栽培品種の形態および遺伝子分析による分類-

摘要

世界のサクラの分類は，形態的特徴から多くの研究者により行われてきた.サクラ亜属を2大別した Koehne (1912), 7節に分けたRehder (1927), 8節 に分けたIngram (1948)が有名であり，どの形態に 重点を置くかにより異なる.日本原産のサクラに関 して，林（1970)は，ャマザクラ系（ここではォォ シマ，ャマ，ォオヤマ，カスミ，マメ，ミヤマ，タ カネザクラ含む），ヒガンザクラ系（エドヒガン）， チヨウジザクラ系に3大別した.久保田（1974)は， ャマ群（ャマ，ォオヤマ，カスミ，ォオシマ）'ヒ ガンザクラ群（エドヒガン），チヨウジザクラ群， マメザクラ群，ミヤマザクラ群，カンヒザクラ群の 6群に分けた.また三好（1916)はサトザクラの栽 培品種を樹形，花色，若葉の色，芳香の有無などに より7群に分類した.しカゝし，栽培品種の親の原種について，人口交雑 の場合は知られているものの，自然交雑の場合は不 明な点が多い.本稿では日本のサクラ原種と栽培品 種について，なるべく多くの形態の違いを重みづけ することなく統計的に分析し分類した結果や， PCR-RAPDから得られた遺伝子の違いによる分類 の結果を報告する.