花き育種におけるDNAマーカー研究の現状と展望

摘要

近年の植物育種において，DNAマーカーを利用した個体識別技術や遺伝子連鎖地図の作成，有用形質の遺伝解析法がめざましい発展を遂げている（矢野2000，大村ら2000，鵜飼2000，美濃部ら2003，矢野2004，大澤2004）．イネ，ムギ，ダイズなどの主要作物や果樹，野菜では，農業上重要な形質に連鎖したDNAマーカーの作出，遺伝子連鎖地図の作成やそれを利用した有用形質の量的形質遺伝子座（quantitative trait locus；OTL）解析の事例が多数報告されている．また，DNAマーカーを利用したマーカー選抜（marker assisted selection；MAS）についても，イネの白葉枯病，穂いもち抵抗性（早野ら 2003，杉浦ら2004）やコムギの製麺適性（石川ら2003，中村ら2003）などの形質で実用化研究が進行している．