米の外観品質, 食味研究の最前線〔19〕: 高温耐性イネの開発戦略（澱粉代謝関連酵素の細胞分子生物学の視点から）一

摘要

気候温暖化は，我が国においても深刻な環境問題 の1つとなってきている.最も主要な温室効果ガスであるCO_2の大気中濃度はイギリス産業革命が始 まる前の1760年代頃は280ppmであったが，それ 以降増加し始め，20世紀後半から増加傾向が急速に 高まり，2005年には379ppmに上昇した.IPCC (気 候変動に関する政府間パネル）は環境重視, 国際協 調主義から経済重視, 地域主義まで地球規模での 様々なCO_2の排出シナリオを想定し，大気中CO_2 濃度は2100年には550-960ppmに達するものと予 測している.大気中のCO_2濃度上昇にともなって世 界平均気温は過去100年に0. 74°C温暖化し，我が国 においても約1°C上昇したと報告されている.さら に,21世紀中に最低でも1.8°C，経済重視, 地域主 義という温室効果ガス排出削減がなされない最悪 のシナリオでは，6°C温暖化が進むと推測されてい る.