日本における超低流速潅水システム発展の可能性--V，中華人民共和国と日本の潅水事情の違いからみた超低流速濯水の方向性--

摘要

独立行政法人国際協力機構は，中華人民共和国において，2002年～2007年の予定で，中華人民共和国持続的農業技術開発計画プロジェクトを実施しており，中国農業科学院の日中農業技術研究開発センターに，プロジェクトリーダーの他，育種、病虫害、土壌肥料の3名の長期専門家を派遣して，中国農業科学院の共同研究者との共同研究を実施している．筆者は，土壌肥料分野の短期専門家として，パルセーターを用いた節水潅漑技術の技術移転を目的に，2005年10月に約2週間北京に滞在し，パルセーター型スプリンクラーの特徴，その利点などについて説明や，スプリンクラーの散水試験を行う等の業務を実施してきた，その間，中国農業科学院の土壌肥料研究所の実証試験地や，中国農業科学院が指導して，節水濯漑の実証試験を行った農業現場を訪問することができた．滞在期間が2週間程度であったため，その全貌を把握することばできなかったが，中華人民共和国か，農業の持続的発展のうえで直面している課題について，水資源とその利用の観点から整理し，日本との違いをふまえたうえで，超低流速潅水か利用できる局面について検討してみた．