1997年度日本作物学会シンポジウム〔3〕2．国際競争下での四国の作物生産の方向を探る愛媛県における裸麦作の現状と問題点

摘要

裸麦は古くから重要な水田裏作物であり，小麦や大麦（皮麦）よりも寒雪害に弱いことから，主として西日本で栽培されてきた。 中でも，降水量が少なくて冬が温暖な瀬戸内海沿岸は，裸麦の生育に適した気象条件にあり良質麦が生産されてきた。 裸麦の作付面積は，戦後には全国で約50万haであったか，需要の減少等で激減して，1995年（収穫年，麦作年度は以下同様）にはわずかに3，800haとなった。 そのうちの49％か愛媛県，隣の香川県と合わせると75％を占めており，地域性の高い作物となっている。 当県の裸麦粗生産額は1995年が約11億円であり，これは耕種部門のわずか0．8％にすぎないが，当地域の特産作物であり，また水稲用農機具や施設が有効に利用できることから，水田農業を維持していく上でも重要な作物である。