植物集団間の自然交雑と隔離に関する受粉生物学的考察〔9〕－2．集団間の隔離の方法と精度（その2）距離的隔離における隔離距離（3）FAOの採種基準による隔離距離－

摘要

途上国の採種栽培を念頭においたFAO（1993）の採種基準“Quality Declare Seed－Technical guidelines for standards and procedures”（表12）は，既述のOECD（2003）やAOSCA（2001）の採種基準よりも緩やかな基準である．すなわち，最小隔離距離については，多くの作物について交雑品種などを除けば原原種，原種，市販種子の採種圃の条件を同一とし簡便化してある．また，前に栽培した同種植物また近縁種植物からの自然下種植物の混入を防ぐための栽培間隔についても，年数を明示せず採種圃に供する土地の条件として自然下種植物が無いことと述べるにとどまっている．なお，FAO（1961）の採種基準もあるが，その内容は前出の表9にほぼ生かされているので，ここでは補足用として一部のみ取り上げた．