北海道の酪農経営における負債償還可能性予測モデルの構築

摘要

北海道の酪農経営の多くは自己資金が十分にない中で急速な多頭化を進め，多頭化などに伴う膨大な投資を主として借入金に依存してきた．その結果，目標どおりに借入金償還が進まず，負債累積に苦しむ経営も少なくない．宋、山本、近藤［4］は，北海道の酪農経営を対象に「負債償還目標が達成困難な酪農経営の技術効率は，達成可能な経営の技術効率に比べて低い傾向にある」という仮説が支持されることを実証した．しかし，負債償還が目標どおりに進まない要因は生産性（技術効率）の低さだけではなく，複数の要因が考えられる．そこで，本稿では生産性以外の複数の要因を取り入れて，個別農家の負債償還可能性を予測し得るモデルの構築を試みたい．