トルコ地中海沿岸地方における農業の国際競 争力: 国内資源費用アプローチによる分析

摘要

トルコのEU加盟交渉が2005年に開始され，早け れば2015年にも加盟が承認される可能性がある.し かし一方で人権や宗教など加盟への障壁が依然存在 し，加盟にはまだ時間がかかるともいわれている. そのような加盟における障壁の一つとして，EUの 共通農業政策（CAP)への対応が挙げられ，トルコ 政府は直接所得支持を中心とした農業政策への移行 作業を進めている.また，生産者支持相当量(Producer Support Estimate: PSE)が農家の総受領額に占める割 合は，増減はあるものの20%前後で推移しており， 2006-2008年3力年平均では0ECDおよびEU25力 国の平均より低い（0ECD 〔14〕）.このようにトル コの農業政策が価格支持政策から直接所得支持政策へと重心を移そうとしている中，EU加盟によって， その他のEU加盟国の農産物との競争が激化し，価 格支持の廃止によりトルコ農業の国際競争力が低下 することが予想されるため，農業の国際競争力を把 握し，このような政策の変更がトルコ農業におよぼ す影響を評価する必要性が高まっている.