CVMによる阿蘇葦原の価値評価と保全方策

摘要

本稿では，阿蘇草原の多面的機能の価値を評価の事例を通じて，一般市民ヤ行政および農業者がそれぞれの立場から保全活動に参加する方策を明らかにしたい。ずなわち，熊本県阿蘇地方には，草千里に代表される広大な葦原が存在し，世界最大級のカルデラ地形と一体となった壮大な景観を形成するとともに，希少植物の生息地を形成し，畜産による放牧，採草，野焼きによって維持されてきた。 しかしながら，畜産業の衰退による放牧牛の大幅な減少，野焼き等に従事する草原維持管理者の高齢化ヤ人手不足等により，かつて25，000へクタールあった葦原は，現在14，000へクタールまでに減少している。 このままでは畜産という生産活動に依拠した草原の維持管理はますまず困難になると考えられる。