キク切り花の 周年ま産を支える 無病苗生産 (3)周年生産用品種の育成

摘要

キクの冬至芽の発生から開花.結実に至る発育相は、ロゼット相、幼若相、感光相および成熟相より成り立ち、前3相の通過にはそれぞれ低温、高温、短日を必要とする(川田ら、19800)。欧米の周年生産では採穂母株を温室(最低16 deg C)で栽培するので、採取された揷し穂から育成した苗は短日下で花芽分化する能力を備えており、感光相(日長感応相)にある。したがって、周年生産では感光相と成熟相の2相しか関係していない。しかし、、期に温室の温度が保持できない、あるいは光量が著しく少ない場合は、節間が短くなつたり、スプレーギクでは花数が減少する、あるいは春の開花が遅れることもある。これらの現象は口種のロゼット性あるいは幼若性と関係が深いと思われる。1970年以降に発表された欧米のスプレ，1ギク品種は雨形質が遺伝的に除去されている。イギリスのキク育種家B.メーチン氏は、「実生を冬の無加温室に定植し、ロゼットを形成した株を2代にわたって抜き取ると、ロゼット性はほぼ遺伝的に除去できる。」と述べた。おそらく同時に開花の早い株からだけ選抜を行うことにより幼弱性も除去されたとされる。