都市住民による中山間地域への継続的支援組織の形成プロセス：京都府「ふるさとボランティア」を事例として

摘要

現在，過疎化の進む中山間地域の農村では農地や土地 改良施設の健全な維持管理が極めて難しくなつている。 特に深刻なのは人手不足であり，地域外，特に都市住民 による支援が重要な意味を持つようになつてきた。また 定住者を増やさなければ近い将来，存続そのものが不可 能になる地域も数多く存在しており，都市人口を呼び込 み，定住者を増やすと言った意味からも都市農村交流を 活発に行なうことが必要である。それらの課題への取り 組みとして，都市住民による農村支援ボランティア活動 が実施されている地域が数多く存在する。農村支援ボラ ンティアを実施するにあたり，特に初期段階では行政に よる活動資金の援助や運営面，事務機能のサポートが必 要である'）。しかし，予算制約，人員不足等の課題があ り，行政主導のボランティア活動を恒常的に行なうこと は困難である。支援を持続させるためには，行政から市 民へとボランティアの実施主体を移行させる必要がある が2)その様な移行がどのように生じうるか，また支援の 継続性はどのように確保される力、，まだ十分に明らかに されていない。そこで本研究では（1)行政主体で行わ れている農村支援ボランティアをきっかけとして，都市 住民が自主的に農村を支援するに至る過程を，ボランテ ィァ参加者の意識の変化に焦点を当てて解明すると共に，(2)行政の支援を離れた自主的な農村支援の継続性に ついて主体間関係の変化に焦点を当てて検討する。