旧宇都宮育成牧場におけるサラブレッド系育成馬の調教時のV_(200)値およびV175値測定調査

摘要

馬の運動中の心拍数と走速度を測定し，両者の関係により導かれるV_(200)値（心拍数200拍／分）ならびにV_(175)値（心拍数175拍／分）はその馬の有酸素パワーの指標であることは知られており育成馬については『第37回競走馬に関する調査研究発表会』において栗原らが報告している。育成馬の調教は各馬の特性を考慮し，その内容は個体毎に計画実施する必要がある。 更にその時の馬の状態や現時点の調教進度を判断し，毎日の調教内容を決める必要がある。 しかし，現状ではほとんどの場合経験のみにより判断決定されるが，現段階での馬の運動能力を科学的な手法で推定し，その指標値を加味し調教計画を立てることはより理想的である。 しかし，この手法を有効に利用するためには継続的に，実際の育成調教時の上記指標値を調査し，結果をデータとし蓄積していく必要がある。 また，実際の調教実施内容とこの指標値を照らし合わせることで，この指標値のより有意義な利用方法の指針になると考えられる。 したがって今回旧宇都宮育成牧場で育成した平成9年度配付のサラブレッド系抽せん馬18頭を用い，走路調教開始の約1ヶ月後にあたる明け2歳の11月から配付前の明け3歳4月までの期間，発育および調教の進捗に伴うV_(200)およびV_(175)値の変化について検討した。