プロダクション、メディスン　Q＆A

摘要

第19回目は「産裾期肝臓病の発生予知と治療法」についてお答えいたします。 分娩後の乳牛は血清遊離脂肪酸量（NEFA）の増加（体脂肪動員）に起因して短日的に生理的肝脂肪化に陥りますが，ほとんどの乳牛では採食量の増加に伴ってその肝脂肪化は次第に改善していきます。 しかし，分娩前から血清遊離脂肪酸量高値（1．0 mEq／e以上）の妊娠牛や血中総ケトン体量（1，000 mu M／e以上）が高くなる双児妊娠牛，乳熱や産梅熱などに曜患して分娩後に採食量が増加しない牛は，肝臓への脂肪蓄積量が増加して脂肪肝となり臨床症状を発現します。 また分娩後にみられる生理的な肝脂肪化はほとんどの乳牛では徐々に改善していきますが，その他に生理的肝脂肪化が軽度であるのにもかかわらず，改善せずに重度の脂肪肝や肝細胞内ミトコンドリアの膵脹を主病変とする肝細胞混濁腫脹に移行して，重篤な臨床症状を発現する牛がいます。 このような例は分娩の度に脂肪肝に雁患して長期治療を要する場合が多く，第四胃変位を併発すると肝病変が憎悪して予後が悪いでしょう。