機能性リベチン（Immunoglobulin Yolk: IgY)を 用いた経口受動免疫の野外応用

摘要

卵黄リベチン（Immunoglobulin Yolk ： IgY)の作成は 鳥類に備わっている「卵黄内への輸送機能」の生物学的な 仕組みを利用する。これは鳥類に感作する抗原の種類を変 えるだけで，特異性の異なる色々な卵黄リベチンが生産で きる。リベチンとは，卵黄タンパク質に約30%含まれる 水溶性タンパク質のことであり，alpha-,beta-およびgamma -リベ チンの3種類が区分されている。各々の存在比は2対3対 5であることが報告されている。alpha-リベチンは親鳥の 血清のアルブミンで，beta-リベチンは血清alpha 2-ダルコプロ ティンであり，gamma-リベチンは血清gamma-グロプリンが「卵黄 内への輸送機能」によって卵黄に移行した物質であること が証明されている。著者らは，鳥類に自然に備わっている血清グロプリ ンの卵黄内移行のメ力二ズムを利用して，子牛の消化、 吸収機能に障害を及ぼして，生産性を阻害する腸管毒素 原性大腸菌K99 (以下，ETECK99),サルモネラ菌（S. Typhimuriumおよび S. Dublin) ， ロタウィルス（G6型お よびG10型），コロナウィルスならびにクリプトスポリジ ゥム(Cryptosporidium parvum)原虫に対する卵黄リベ チンを開発してきた。