牛の補液、輸液療法第35回牛の輸液療法、基礎編カルシウム輸液剤2

摘要

乳牛における低カルシウム血症の予防と治療を目的とし た製剤は，経口剤を含めると多岐に富んでいる。このうち 獣医師が治療目的で使用するものの多くは注射剤である。注射剤には10%塩化カルシウム，20%グルコン酸力ルシゥ ム，グリセロリン酸カルシゥムおよび25%ポロダルコン酸 カルシウムがある力5，国内のカルシウム注射剤の市場のほ とんどを25%ボログルコン酸カルシウム製剤が占めている。 今回はカルシウム注射剤を適応する際に注意すベきこと について紹介する。]920年代に産業動物用として開発されたカルシウム注射 剤である。すでに国内での販売は終了しているが，50mL バイアルのクロカル注（日本全薬工業㈱）が10%塩ィ匕カル シゥム製剤として市販されていた。1933年にLittleと Mattickが牛の血中カルシウム濃度を調査し，その中で 重度の低カルシウム血症に対する塩化カルシウム製剤の治 療方法を紹介している。これは重度の低カルシウム血症動 物に対して150mLの10%塩化カルシウムを静脈内投与する ものである。