意識のある馬における内臓痛および体性病に対するフエンタニルの効果

摘要

馬では，種々の軟部組織疾患および整形外科疾患に対して鎮痛薬投与を必要とするのが通例である。 馬で最も普通に用いられている鎮痛薬は，フルニキシンメルグミンやフェニルブタゾンのような非ステロイド系抗炎症薬であるが，胃潰瘍や大腸炎のような副作用がある。 合成〃受容体作動薬であるフェンタニルを含むオピオイドは，種々の動物種で中等度から重度の痺痛を抑制するためによく用いられている。 馬ではいくつかのオピオイドの使用が制限されているが，これはこれらの薬物が，中枢神経系の興奮，歩行運動過多，および消化管運動の低下のような有害作用と関係しているからである。 特にモルヒネは，意識のある馬の盲腸と結腸の筋電図活動を低下させ，小腸内の内容物の通過時間を延長させ，排便量を減少させる。 ブトルファノールの走速注入は，ポーラス注入に比べて，消化管に対する有害作用を相対的に低下させるために，鎮痛薬として用いられてきた。