正しい初乳給与方法確立へのアプローチ－移行免疫の視点から－

摘要

平成16年度より全国の農業共済組合において乳牛の子牛共済事業がはじまり，今まで数字で把握できなかった子牛の死亡事故率が予想を上回る数字として明らかとなった。 それによれば，胎子として加入した子牛の約1割が6カ月齢までに死亡している。 その多くが分娩にかかわる事故であるが，出生後に腸炎や肺炎で死亡する子牛も少なくない。 乳牛の平均産次が年々短縮し3産を下回るなか，出生子牛のこうした損耗は後継牛の確保を困難にし，農家にとって大きな経済的損失につながっている。 このような子牛の死亡事故や病症事故の発生率は，農家によって大きく差がある。 ということは，子牛の事故が多い農家においても，管理方法の見直しによってそれらの事故を未然に防ぐことが可能であるともいえる。 今回は，子牛の初乳給与方法について整理して紹介する。