狂犬病発生

摘要

平成18年11月16日のラジオ放送を通して「中国における狂犬病の発生増加」に関するコメントをしたその夜，フィリピンで犬に暖まれた60歳代の日本人が帰国後，狂犬病で発病したとの報道を聞いた。 続いて22日に，1例日と同様な状況で2人目の患者が発生し，ともに亡くなられた。 いわゆる致死性輸入感染症の発生である。 我が国では，動物の狂犬病が1957年を最後に発生しておらず，ヒトでは1970年にネパールで犬に暖まれ，帰国後発病した学生の輸入感染以降36年間ぶりの発生である5）。 本病の怖さをすっかり忘れていた大多数の日本人にとって，これは驚博すべきニュースとなった。 特に，近年多くの日本人が気軽に行き来し，あるいは長期滞在しているフィリピンで感染したことから，身近な恐怖感として，このニュースを受け取ったものと思われる。