牛群管理はどのように行たてきたか

摘要

大動物，特に牛の臨床獣医療は，近年，小動物とは全く趣を異にしてきている。 すなわち，小動物獣医療は限りなく医療に近づく方向に進んでいるが，牛、豚の獣医療は，治療獣医療から予防獣医療，管理獣医療，そして生産獣医療へと変遷しつつあり，畜産学との融合が急速に進んでいる。 生産獣医療とは病気を予防し，さらに農家の生産性向上を図るための獣医療である。 つまり，従来言われていた個体診療、群管理などという概念を超越してすべてをまとめ，農家が経済的に潤うところまでフォローしていく獣医療である。 さらに近年は，量や質の向上にとどまらず，消費者に対しての“食の安全、安心”を配慮した生産指導を行うことも要求され始めている。つまり，安全、安心な食料（畜産物）を効率的に生産することを指導する獣医療が，生産獣医療の根幹である。