林木育種ににおけるDNAマーカーの適用

摘要

スギ（Cryptomeria japonica D. Don）は，日本で最もゲノム研究が進んでいる樹種である。 津村（2006）は，現在に至るまでのスギゲノム研究について網羅的に詳述しており，その成果の第1番目に，様々な組織由来から構築したcDNAライブラリーに基づいて15，000に上る有用遺伝子を単離したことを述べている。 機能推定まで行われたこれら遺伝子情報は研究の進展に伴って将来的に様々な形で林木育種に貢献することは間違いない。 成果の第2番目にはDNAマーカーの作出が挙げられており，CAPS（cleaved amplined polymorphic sequences）マーカーやマイクロサテライトマーカーが実際の研究成果と共に紹介されている。 例えば，連鎖地図構築，遺伝資源の評価，針葉樹採種園の改良およびクローン管理等への適用であり，これらDNAマーカーに基づいて行われてきた，または現在行われている研究には林木育種へ直接的に貢献するものが数多い。