林木育種のための統計解析（2）一複数の検定林データの解析：基本モデル一

摘要

林木の次代検定では，それぞれの精英樹を複数の場所に試験植栽して，その結果を総合的に解析して各精英樹の特性を言甲西することとしている。これは，林地が多様でかつその生育環境を人為的に制御することが難しいため，個々の生育条件に左右され易い一箇所の検定林からの結果だけでは，普及の対象とする地域に広く適用できる普遍的な評価が困難なことによる。 このため，精英樹を評価する際には，あらかじめ複数の検定林から得たデータを用いて解析を行い，系統評価の精度はどの程度であるかを確かめておく必要がある。 　 複数の検定林データの分散分析は，農作物の言式験の「複数の場所や年次毎に乱塊法等の共通な設計で実施した一連の試験の分析」に相当し，個々の検定林の分散分析の結果を併合した形をとる（統計的方法1977）。 すなわち，個々の検定林の分散分析表の系統間の平方和の合計は，複数検定林データの分散分析表の系統間の平方和と交互作用の平方和に分割される。 また，個々の検定林の誤差の平方和の合計は，複数検定林データの分散分析表の誤差の平方和となる。 そして，自由度にも同様の関係が成り立つ。 今回は，簡単なモデルデータを用いて，上に述べた事項を具体的に紹介する。