スギ雄性不稔個体の選抜

摘要

今年はスギ雄花の着花量が例年に比べ著しく多いため花粉飛散量は，これまでの記録を更新した地域が多いと思われる。 今年のスギ花粉飛散数は，異常気象と重なり，例外的に多いという意見もあるが，スギ林の林齢構成や現在スギ林の伐採がほとんど進まないという林業の現状からすると，今後，20年間以上花粉を大量に飛散する30年生以上のスギ林面積が増加し続け，今年のような大飛散年が2－3年ごとに繰り返される可能性が高い。 全国的なスギ花粉飛散数について見ると，九州地方や高知県，和歌山県などの林業の先進県では花粉飛散量の増加傾向は少なく，富山県，宮城県などの戦後に拡大造林が盛んに行われた地域での花粉飛散量の増加が著しい。 このスギ花粉が原因で発症するスギ花粉症患者は，年々増加しており，現在，日本全体で見るとスギ花粉症患者は人口の16．2％に達している。 その中でもスギ花粉症患者の最も多い県は山梨県で，人口の29．9％が発症している。