CO_2排出権取引に対応する各国の政策とその国の林業，林産業経営への影響

摘要

本研究では日本，アメリカ合衆国，EU（スウェーデン）の地球温暖化に対する森林政策およびCO_2排出権取引が同3カ国の個別林業経営に与える影響について分析した。 1997年京都会議において，先進国38カ国に温室効果ガス（GHG：Green House Gases）の排出上限量が設定された。 この上限量の目標値を達成するために設定された柔軟措置を京都メカニズムといい，京都メカニズムの1つにCO_2排出権取引がある。CO_2排出権取引は，国や企業が定められたCO_2排出枠容量よりも低く排出量を抑えた場合，余剰分の排出枠を他の国や企業に売却できる，低コストの排出削減技術を持つ国や企業に資金が集まるシステムである。 またこの会議において，森林が吸収するCO_2がGHGの削減に計算されることが決定されている。 しかし森林が吸収するCO_2をGHG削減分の排出権として計算する方法（アカウンティング）が国際的に合意されていない。