西表島に植栽したEucalyptus camaludulensis Dehnh.の植栽後4年目までの成長と生存率の系統間差

摘要

Eucalyptus camaludulensisは，E. camaludulensis van camaludulensisとvar. obtusaの2変種力、らなり，オーストラリァ大陸の熱帯から温帯までのほぼ全域に 天然分布しています。適合する気候の推定値は，最も 暑い月の月平均最高気温は21°C力、ら40°Cまで，最低 気温が—8°C，年平均降水量では250醒から2500匪 までで，8ヶ月の乾期に耐えるとされています~(1))。ほと んどの土壌に適応しますが，一部の集団をのぞいて石 灰質の土壤には適応しません。造林難としては，乾燥，半乾燥地に適しているこ とや，材の用途の広さ等から世界の広い地域で植栽さ れています。庇陰木，防風林としても50万ha以上の 造林実績があり~(2)),地中海沿岸では1900年以前に導入 された南部オーストラリァ産の種子を起源とするラン ドレースが植栽されています。1980年代からはォ一 ストラリァ北部産の種子力が大量に東南アジアやブラジ ル等に輸出されており，ノ一ザンテリトリ一州のみで 年間2 tonの種子（約12億本の実生苗が得られる量） 力が輸出された記録があります。材は多用途に利用されており，杭，支柱，燃料材ゃ 木炭の原料の他，ハードボード，パーティクルボード や製紙原料としても利用されています。ところで，西表島を含む沖繩県は，日本の中でも特 に台風による強風にさらされやすい地域です。1981 年から2010年までの30年間に本土 （北海道，本州， 四国，九州のいずれかの気象官署から300km以内に 入つた場合）に接近した台風が164だつたのに対して, 沖繮centre dot奄美地方（鹿児島県の奄美地方，沖纏県のいず れかの気象官署から300km以内に入った場合）に接 近した台風は228と大きく上回ります。日本国内の人 ェ林経営では，リスクの一つに台風災害が挙げられま す。台風に伴う強風にたびたびさらされる環境下でも 成長を続ける難'系統は，木材の生産を目的とした 造林はもちろん防風林の構成木としても活用できる可 能性が高いと考えられます。