「福島の酪農を記録、記憶する-東日本大震災と福島第1原発事故の現実」N。12:未来の物語

摘要

第1回の原稿で、東京電力福島第1原発の警戒区 域で「餓死した牛の悲しみをたたえた牛の目は、何 を見詰めているか」と書いた。ずっとそのことを考 えてきた。どうしたらその視点に立てるかを模索 し、この連載で取材させてもらった牛飼いたちに今 も会い続けている。彼らの話からいつも教わるのは、 言葉の背景にその土地固有の歴史や風土があるとい うことだ。言葉が生まれる土壌を理解せずに、発せられVこ言葉だけを記録しても、事故によってもたらされた被害の本質を突き止め、再生に向けて立ち上 がるための素材にはならないことを学んでいる。