Di-fructose Anhydride IIIは周産期疾病の予防に利用できるか

摘要

乳熱を含めて低カルシウム（以下Ca）血症の完全な予防方法は未だ確立されていない。これは乳中へのCaのout putに対して，給与量も大きく影響するが，Caのin putが追いつけていないためだと考えられる。消化管のCa吸収は経細胞経路（能動輸送）と細胞間隙経路（受動輸送）の2通りが知られている。これまでの乳牛の低Ca血症予防方法はビタミンD_3が仲介する経細胞経路のみ研究されてきたが，ビタミンD受容体の数は加齢によって減少すると報告されており，これに対する有効な予防策はなかった。そこでもう一つの濃度勾配による細胞間隙経路からのCa吸収が活用できれば有効な低Ca血症予防方法となることが期待される。