ジャガイモ生育ステージごとのアブラムシの加害と塊茎えそ病発生との関係

摘要

長崎県で発生しているジャガイモ塊茎えそ病は，ジャガイモYウイルス塊茎えそ系統（PVY~(TN)）により引き起こされる新病害であり，アブラムシにより伝搬される。井上、坂口は，1975年当時にPVYにより生じた塊茎異常症の発症とジャガイモの生育ステ、ージとの関連について調査した結果，異常症の発生は生育後期の感染では低下することを明らかにしている。 ジャガイモ塊茎えそ病についてもアブラムシの加害時期と，塊茎えそ病の発病および病斑を生じた塊茎の大きさ（規格）との関連を明らかにするため，塊茎えそ病の自然発生条件下で，不織布を用いた被覆栽培を行った。 すなわち，ジャガイモの生育段階にあわせて一時的に被覆を取り去る暴露期間を設けることで，アブラムシによる加害時期の異なるジャガイモ塊茎を得，収穫時にえそ病の発生程度の差異を調査した。この結果，暴露時期の違いにより塊茎の発病程度に差異が認められたので報告する。