Staphylococcus aureus乳房炎乳牛に対するタイ口シンの乾乳直前時治療の効果

摘要

泌乳期にStaphylococcus aureus（SA）による臨床型乳房炎を発症し，乾乳直前まで治癒しなかつた乳牛26頭35分房に対し，乾乳3日前よりタイロシンの全身投与と抗生物質注入による治療を行った。 また，乾乳6日前より他の抗生物質の全身投与と感受性のある抗生物質の注入を行った牛を対照群とした。 分娩後1週目より3～4回実施した細菌分離培養検査で臨床症状が消失し，SAが検出されなかった分房を治癒と判断した。 その結果，治癒率は試験群では83ウら（35分房中29分房）であり，対照群7頭の36％（11分房中4分房）に比べて有意に高かった。 以上のことから，乾乳前にタイロシンの全身投与はSAによる乳房炎の治療に有効であると考えられた。