H5およびH7亜型の鳥ィンフルェンザウィルスを 検出するためのリアルタイムPCRReal-time Polymerase Chain Reaction for the Detection of Avian InfluenzaViruses of H5 and H7 subtypes

摘要

家畜伝染病予防法では，国際獣疫事務局が規定する高 病原性（全ての亜型）の鳥インフルエンザウイルスと低病原性（H5, H7亜型）の鳥インフルエンザウイルスを 特定家畜伝染病に指定し.防疫指針に沿って.発生予防 とまん延防止の対策を厳格に行うことになつている。1996年以降，東アジアで流行を続けているH5N1亜 型の高病原性ウィルスは.われわれが最も注意しなけれ ばならないウィルスである。現在.中国，ベトナム，ィ ンドネシァ.ミャンマー，インドなどの国々とエジプト において，家禽の感染が続いている力《，これが汚染源と なって野鳥の感染が起こり，野鳥の渡りによって周辺国 にウィルスを持ち込まれると考えられている。日本では これまでに，2004年，2007年，2010年に養鶏場で，ま た2007年，2008年，2010年に野鳥から本ウィルスが検 出されている。中でも2010年の冬の国内発生の被害は 甚大で，合わせて9県23戸の養鶏場で発生し.述べ 183万羽の鶏が処分された。農水省はこれを受けて家畜 伝染病予防法（防疫指針を含む）を改正し，発生予防， 早期発見.迅速な初動対応の強化を図った。本解説では. この時に家畜保健衛生所へ導入された.H5, H7亜型の HA遺伝子を検出するリアルタイムPCR法（以下，本 法とする。）について紹介する。