ワンポイント質問

摘要

子牛の下痢症は，腸管の分泌克進による分泌性下痢と吸収障害による吸収不良性下痢に分類されます。 大腸菌は分泌性下痢，クリプトスポリジウムは吸収不良性下痢を発生させる代表的な痛原体です。 日齢と下痢症との関係では，8日齢以下の子年では分泌性下痢が，8日齢以上の子牛では吸収不良性下痢が主です。下痢の病態は，脱水と酸塩基平衡異常（主に代謝性アシドーシス）であり，分泌性下痢は脱水が，吸収不良性下痢は酸塩基平衡異常の病態が強く発現します。 また，8日齢以内の子年で発生する大腸菌性下痢は脱水が，近年，汚染が拡大しているクリプトスポリジウム下痢は代謝性アシドーシスが主な病態です。 クリプトスポリジウム下痢のような吸収不良性下痢でみられる代謝性アシドーシスは，腸管内における乳酸などの有機酸の増加が主な原因であり，下痢子牛は腸管内における有機酸の増加によって腹囲が膨満して拍水が蝕知されます。 したがって，分泌性下痢に対しては脱水の改善を，吸収不良性下痢に対しては酸塩基平衡異常（代謝性アシド1一シス）の改善を目的とした治療を行うべきです。