ヨーネ病診断法の現状と将来

摘要

ヨーネ病はMycobacterium avium subspecies paratuberculosis（ヨーネ菌）によって惹起される反袈獣の慢性肉芽腫性腸炎で、非常に長い潜伏期間の後、持続性の下痢、栄養状態の悪化による削檀等を起こし、やがて死に至る疾病である。 結核やブルセラ病の発生が殆ど認められなくなった我が国において、ヨーネ病は家畜法定伝染病の中でも最も多発している疾病の一つである。 現在ヨーネ病の防疫対策は、「摘発淘汰」を基本として進められており、診断法としては、ヨーネ菌分離、ELISAによる抗体検査、及びヨーニン皮内反応が用いられている。糞便からのヨーネ菌分離は最も信頼性の高い診断法であるが、ヨーネ菌は発育速度が極めて遅く、ヨーネ菌培養検査の結果が得られるまでには、2～4ヶ月を必要とする。 ELISAによる抗体検査では、感染早期には抗体上昇が認められない。 また、ヨーニン皮内反応は、ヨーネ菌に対する宿主の細胞性免疫反応を指標とした診断法であるが、病勢の進行時に陰転することが多い。 このように、現行の各診断法には改良されるべき点も多く、さらなるヨーネ病診断技術の高度化が必要とされている。