烏骨鶏の筋変性を伴う皮膚型リンパ腫

摘要

烏骨鶏2群約70羽とボリスブラウン2群約40羽を飼養する農場で，2005年7月中旬，年齢不明の雌烏骨鶏1羽に顔面腫痛が認められ，隔離するも回復しない症例があり，鶏痘の発生を疑い病性鑑定を実施した。 当該農場では，市販採卵鶏用配合飼料を用い，年2回のニューカッスル病生ワクチンが飲水投与されていた。 外貌では，顔面に栂指頭大から小豆大の硬結感を有する腫癌を認め，一部自演。 眼瞼の腫脹が認められた。 温湯にて脱羽すると，頭頂部から翼先端に至る体表全面に米粒から小豆大の腫瘡の密発が認められた（写真1）。 腫留は概ね羽包に一致して形成され，融合により不正形を呈する部分が認められた。 顔面の自潰部を除いては痴皮を認めず，また，水庖、膿胞の形成も認められなかった。 剥皮すると， 浅胸筋および深胸筋で， 筋走行に一致して粗剛感を伴う灰白色変色巣の密発が認められた（写真2）。 その他中枢神経，坐骨神経を含む諸臓器では，腎臓の白色腫大化のほか，著変は認められなかった。