細菌のボスファチジン酸合成に関与するァシル卜ランスフIラーゼの多様性 - ァシルリン酸をァシルドナーとする新規ァシル卜ランスフェラーゼの発見から

摘要

ホスファチジン酸（PA)は最も基本的なリン脂質であ り，かつすベてのリン脂質の前駆体である.PAは，グリ セロール3-リン酸（G3P)を出発物質として，その1位と 2位のヒドロキシル基に長鎖脂肪酸に由来するァシル基 が転移することにより生合成される（図1).この経路は 真正細菌から哺乳動物にいたるまでよく保存されてお り，G3Pの1位のヒドロキシル基にァシル基を転移する G3Pァシルトランスフヱラーゼ（GPAT)と，この反応に より合成されたリゾホスファチジン酸（LPA)に了シル 基を転移するリゾホスファチジン酸ァシルトランスフエ ラーゼ（LPAAT)の2種のァシルトランスフェラーゼが 関与している.ここでは，真正細菌におけるPA生合成 に関与する酵素の多様性を概説し，さらに，筆者らの研 究を含めた最新の知見を紹介する.