イミダゾール含有ジペプチドを分解するカルノシナーゼとアンセリナーゼ: 酵素分類の変話と分子進化．魚類をはじめ背椎動物に広く分布

摘要

脊椎動物の骨格筋や中枢神経系には，イミグゾール含有ジペプチドのカルノシン（β－アラニルセスチジン），アンセリン（β－アラニルー1-メチルヒスチジン），ホモカルノシン（gammaアミノプチリルヒスチジン）や，アセチルヒスチジンなどのヒスチジン関連物質が存在している（図1）．これらの物質は無脊椎動物にはほとんど認められない．カルノシンとアンセリンは脊椎動物の筋肉に広く分布し，たとえば哺乳類の筋肉においては，ウシやブタでカルノシンが，ウサギではアンセリンが，それぞれ10数mMという高い濃度で存在している．魚類筋肉からも，サケ類でアンセリンが，ウナギ類ではカルノシン，そしてカツオ、マグロ類ではアンセリンとカルノシンの両方が多量に見いだされる．一方，ホモカルノシンは筋肉中には含まれず，その分布は脳内に限られている．アセテルヒスチジンは爬虫類，両生類および硬骨魚類の脳と水晶体に，また例外的に魚類テラピアの筋肉に高い濃度で確認されている．