菌根菌を活用した低投入持続型カンキッ栽培を目指して

摘要

カンキッ樹に菌根が形成されることが発見されたのは今世紀初頭であるが、その後、菌根の働きや、この形成に関与する菌根菌の生理、生意的特性については調査、研究がほとんどされていなかった。菌根が植物の生育に重要な役割を担ってい為ことが明らかになったのはつい最近のことなのであ為。現在では農林業におけるさまざまの分野で、菌根菌の基礎研究や応用研究がさかんに行われており、それらに関する研究論文数も最近とみに増えてきている。 筆者らが菌根研究を始めた約一五年前と比較すると、最近の静文数の多さに驚かされる。 特に興味深いのは、開発途上国の研究者による発表が増えてきている点である。 これらの国では肥料を買えない農家が多く、また土壌中のVA菌根歯胞子数がきわめて少ないため、土地生産性が劣ってい為。そのため、本菌を「生物肥料」として活用する研究が主に行われている。一方、先進国では限りある資源を有効に利用し、作物を生産する技術、つまり持続可能な栽培技術を作り上げる上で、菌根菌を用いる方法が検討されてきており、その成果は着実に出てきている。 筆者らは、菌根菌の活用によって低殺人持続型カンキッ栽培の構築が可能であることをこれまでに報告してきた〇そこで、ことでは筆者らの一〇数年にわたって調査してきた菌職研究の成果を基に、今後のカンキッ栽培、特に新しい土壌管理のあり方について提案したい。