M．9　わい性台‘ふじ’リンゴ樹における果実肥大及び品質に対する着果程度の影響

摘要

リンゴの低樹高栽培における収量を予測するため，着果部位が約2．8mのM．9台‘ふじ’を用いて，着果程度と果実の品質および肥大との関係を調査した．1．糖度及び平均果重は，果実と葉の乾物重比（F／L）との間には直線回帰が認められた．相関係数はきわめて高かった．この結果から，葉重に対して収穫呆量が多くなるほど，糖度や平均果重が低下することが示唆された．特に，糖度とF／L値との間の相関係数は高く，年度による変動も少なかった．2．糖度，平均果垂と菓果比との間には，べき乗曲線回帰が認められた．この結果から，本試験を実施した盛岡支場の条件では葉栗比が50葉とすると，3トン及び4トンの生産をあげるには，それぞれ葉面積指数（LAI）で1，60，2．10と算出された．また，葉果比が60葉とすると，それぞれ1．80，2．40のLAIが必要であることが推察された．3．糖度と酸含有量との間にも有意な相関が認められたが，年度により変動した．一方，果実硬度と糖度，F／L値，葉果比との間には有意な相関はみられなかった．