β－クリプトキサンテンと肺がん

摘要

筆者がカンキッによるがん予防に興味を持ち始めたのは一〇年ほど前である。 この時期、がん治療技術の進歩が停滞し、関係者の間にはがんはまず予防しなければという機運が高まっていた。 動物実験でがん予防物質を探す手法が確立し、候補物質が多数発見されていた。 また、がん患者と健康人との間で生活習慣を比較することによって、がんを予防することのできる生活習慣を洗い出すという研究手法（症例対照研究、表1）による成果発表もピークを迎えていた。 症例対照研究で得られた成果は①発がんを促進する喫煙と、②発がんを予防する果物、野菜の摂取を明らかにしたことである。 喫煙者は非喫煙老に較べ、おおよそ二〇倍ほどもがんになりやすいとされる。 反対に、果物、野菜を十分に摂取する人のがんになる危険度は、ほとんど摂取しない人に較べ半分近いと言われる。