抵抗性系統を利用したヒロシマナ白さび病の防除

摘要

広島市安佐南区佐来町川内で栽培される広島県の特産野菜，ヒロシマナ（Brassica rapa subvar．Hiroshimana Kitam．）に，1970年代初頭に白さび病（Albugo macrospora （Togashi）S．Ito）の発生が認められ，1976，1978および1979年に大発生し，大きな被害をもたらした。 白さび病が激発した1978年に現地ほ場を調査した結果，激しく発病する株に混じって少数ではあるが本病に抵抗性を持つと考えられる未発病棟が点在するのを多くのほ場で認めた。 そこで，これら未発病棟に注目し，これらの株を親株にした抵抗性系統の選抜とその利用による防除法を検討し，以下の結果を得た。 1）未発病棟（抵抗性株）を親株にし，1979年から1982年にかけて農業試験場において抵抗性系統選抜のための交配をくり返した。 その結果，1981年（第3世代）に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜できた。 2）各農家においても1980年から抵抗性系統の虚抜に取り細んだ。 その結果，各農家とも1982年（第3世代）に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜した。 3）抵抗性系統の選抜と栽培に取り細んだ結果，現地における白さび病の発生は1980年から減少し始め，特に，1981年以降の発病の減少は著しく，現地における実質的な被害はほとんどなくなった。