ジァミド系殺虫剤の高濃度少量散布による樹幹害虫フタモンマダラメイガおよびヒメコスカシバの防除について

摘要

およびヒメコスカシノ Synanthedon tenuis (Butler)は， 幼虫が力キを含む多様な果樹の分枝部などに食入し，虫 翼を外に排出しながら形成層を食害する樹幹害虫であ る。その被害は，樹勢低下，果実の生育不良，枝折れと いつた直接的なものだけでなく ，冬季の剪定時に優良枝 の選抜ができなくなり，次作の生産性が低下するといつ た間接的な被害も与える。両種幼虫による被害は，5月中旬-11月まで長期間確 認できる。しかし樹皮下に寄生する幼虫の虫齢確認が困 難であること，フタモンマダラメイガの性フェロモン剤 は実用化されていないため成虫の発生時期の把握も困難 であることから，防除適期の判断が難しい。そのような中，チョウ目害虫に卓効を示し，長期残効 性を有する薬剤が近年開発されている。そこで，これら の薬剤を樹幹部に少量散布することで，樹幹害虫の被害 を長期間抑制する防除手法を検討したので，以下に報告 する。本文に先立ち，供試剤を提供ならびに有用な助言 をいただいた日本農薬株式会社の坂田和之氏に謝意を表 する。