北海道の動物病院における獣医師、動物看護師および 犬のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の保菌状況

摘要

2008年に71動物病院に勤務する獣医師96名、動物看護 師（VT) 70名および犬292頭のメチシリン耐性黄色ブド ゥ球菌（MRSA)の保菌状況を調べた。その結果、MRSA は獣医師22名（22.9%)、 VT7名（10%)から分離され、 その割合は大学付属動物病院と同様に高かった。一方、 犬では、2頭の供血犬と1頭の肝疾患に罹患した犬から のみMRSAが分離された（1.0%、 3/292)。 MRSAが 分離された犬が飼育又は診療を受けた動物病院には、1名以上のMRSA保菌者が勤務しており、犬と獣医療ス タツフから分離されたMRSAの遺伝子型は、ST5-spa t 002-SCCmec IIまたはST30-spa t021-SCCmecIVで、病 院ごとに共通であった（表1)。獣医師らが保菌してい たMRSAの多くは、人の医療現場で院内感染の原因と なっているMRSAと同じ遺伝子型（SCCmec type II-spa type t002)で、多剤耐性を示した。獣医療におい ても、院内感染予防策を徹底しなければならない。