「看護的飼育管理」の提唱－技術者による実験動物福祉実践のために－

摘要

1999年に改正された「動物の愛護と管理に関する法律」の中で，動物は単なる「もの」から「命あるもの」と定義をされた。 また，2005年の同法の改正，および2006年の各省庁の指針策定を通して実験動物福祉に対する規制の充実が図られているところである。我が国におけるこのような動物福祉に対する意識の変化は，国際的な動きを背景としており，1997年に合意したアムステルダム条約には，動物保護とウエルフェアに関する議定書が附属文章として付けられている。その中では「動物は意識ある存在（sentient being）」と表現されている。 動物福祉への配慮は倫理のように明確な定義のないものから，法律のように明文化され強制力を持つものへと転換を始めている。