浮稲の節間伸長停止における水面と菓鞘先端の関係

摘要

浮稲は雨期の河川の氾濫によって水位が調節不可能な水田において栽培される．浮稲は，水位の上昇に伴って節間が伸長し，植物体を水面上に保つことによって，普通のイネでは生存できないような深水条件下でも生存可能である．このような浮稲の性質は古くから注目され，節間の伸長の機構について多くの研究が行われてきた．しかし，著者らは「水位の上昇が終わり低下が始まると浮稲は節間伸長をやめ，出穂、登熱がおこり，収穫期をむかえる」ということから，節間伸長の終了という点に注目した．また，実験的に浮稲を深水条件にさらすと，葉鞘先端が水面上に抽出した状態をしばしば観察してきた．そこで，本研究では，水面と菓鞘先端の位置的関係に着目しながら，異なる水位条件下での浮稲の葉身，葉鞘および節間の伸長について検討を行なった．