SIM/Plant~(TM)を応用した歯の欠損部，オトガイ正中部および臼後部の下顎骨骨質に関する研究

摘要

骨結合型インプラントの成功率を左右する因子として顎骨の骨質をあげることができる．しかし，顎骨の骨質について検討している報告は少ない．そこで著者らは，SIM/Plant~(TM)を用いて下顎骨の旨質を骨密度を指標として評価し，若干の知見を得たので報告する．2001年9月から2003年5月までの間に明海大学病院歯科口腔外科にインプラント希望で来院し，下顎骨のCTを撮影した日本人の男性38名および女性62名の合計100名，平均年齢49.7(+-)13.5歳（男性50.3(+-)14.1歳，女性49.3(+-)13.5歳）を対象とした．なお，重篤な代謝系疾患，顎層中心性疾意や放射線療法の既往のある患者は除外した．下顎骨のCTで得られたコロナルデータを再構築後，SIM/Plant~(TM)のEllipseツールを用い直径5mmの正円形を関心領域としてHounsfield unitsを測定した.測定部位はオトガイ正中部と臼後部の海面骨領域である．また歯の欠損が認められる部位でも同様に測定を行った．その結果，以下の結論を得た．1.オトガイ正中部，臼後部，歯の欠損部の全てにおいて，女性と比較して男性の骨密度は高かった．2.歯の欠損部の骨密度は，男女ともに遠心位（大臼歯部）に移行するはど減少した，3.オトガイ正中部と臼後部の骨密度は，男女ともに増齢的に増加した．