Current Organ Topics：Genitourinary泌尿器科系悪性腫瘍Ⅰ．腎細胞癌に対する分子標的薬剤の今後の展開

摘要

腎細胞癌（以下腎癌）に対する分子標的薬剤の開発は欧米，本邦を問わず急速に進み，既存のサイトカイン療法を凌ぐ成果が得られつつある。 腎癌に対しては抗VEGF抗体であるbevacizumabの開発が先行したが，2007年にはマルチキナーゼ阻害剤のsunitinibおよびsorafenibとmTOR阻害剤であるtemsirolimusの第Ⅲ相臨床試験の詳細が誌上発表された。 本稿では主にこれら3剤を中心に，最新知見をまとめるとともに，腎摘除術を中心とした集学的治療および分子標的薬剤の併用や分子標的薬剤不応例に対する薬剤の選択などの今後の展望について述べたい。