マスカット、ベ一リ一Aの産地形成とその発展(昭和中、後期） 2.旧英田町奥地区

摘要

昭和の中、後期（1955-1975年頃）に，岡 山県の露地ブドウ栽培は急速に増大した。本 シリーズの(3)「戦後の復興」で述べたように， 従来からのキャンベルの復興に加え，新たな 品種としてマスカット'ベーリーA (以下， ベーリーAと略記）やネオ'マスカット，デ ラウエアなどが各地に植え付けられた。特に， ベーリーAの増加は急速で，昭和45年（1970) には514haに達し，広島県(309ha),山梨県 (162ha)を大きく引き離して国内最大のベー リーA生産県となった（表1)。それまでのブドウは，酸味の強いキャンべ ル.アーリー（以下，キャンベルと略記）や甲州，小粒のデラウェアが一般的であったの に対して，果粒が大きくて肉質がよく，甘くておいしい高級感のある本品種の登場は，消 費者にとつて魅力ある新しいブドウであった。