ドセタキセルによると思われる治療不応性の急性肺障害を来した肺扁平上皮癌の1例

摘要

59歲，男性。11か月前に左肺上葉原発扁平上皮癌，cT2N3Ml (Stage F)と診断し，化学療法（カルボブラチン十ゲムシタビン）を開始した。5か月前までに計7コース施行し終了 （部分奏効）した。その後，原発巣の増大を認め，今回入院の上，second-line治療としてドセタキセル（DOC) 75mgi2を1回投与した。その投与後18日目に呼吸不全が出現した。胸部X線単純写真，CT上両肺のすりガラス影が出現。気管支肺胞洗浄液·血液所見などから感染症は否定的で，経過も含めDOCによると思われる急性肺障害と診断した。ICU入室の上.ステロイド，シベレスタツト投与，人工呼吸管理ポリミキシンB固相化カラム直接血液灌流法（PMX- DHP)などを施行するも反応せず。DOC投与後31日目に死亡したにDOCは非小細胞肺癌に対する化学療法薬として汎用されているが，薬剤性肺障害による致死的経過例もあり留意すべきである。