膵癌に対する膵周囲血行改変を伴った局所放射線動注化学療法

摘要

総線量約70Gyの術中と術後照射を組み合わせた切除不能膵癌の治療成績をさらに向上させるため，腫瘍へのdrug deliveryを高めた強力な局所放射線動注化学療法を試みた。 対象は2002年度のStageⅣb症例7例を含むStageⅣ膵癌13例である。 方法は原発巣に対し術中照射後を行い，術後には膵周囲血行改変を伴った動注化学療法（gemcitabine，CDDP，5－FU）を体外照射と同時に施行した。 全例に治療後の血清腫瘍マーカーの低下を認め6例に腫瘍縮小が確認された。 しかしStageⅣb症例では5例が1年以内に死亡し，治療効果には限界があると思われた。2例において肝膿瘍を併発したが，脾梗塞や出血性十二指腸潰瘍はみられなかった。