名樹名匠物語「吉村鋭治」

摘要

今日、香風園初代、吉村鋭治といえば技術者というより東京盆栽組合第4代組合長として戦後の苦難の時期を切り回した人の印象が強い。だが、そういう吉村にはまた苔香園の一番弟子と呼ばれ、ひ年にも及ぶ修業期間中苔香園の番頭格として腕を揮い、独立する以前からその技術や陳列手腕で名高いという面もあった。戦前にはむしろその方面での名のほうが知られていた。ほぼ同時代を生きた金井紫雲は「今の吉村香風園や川本明樹園などは、皆翁(苔香園初代.木部米吉)に子供の時から仕込まれた人達」と書き、小林憲雄も「明治二十西年六月柬京芝に生まれる。父は造幣局の技師、てあつた。十五才頃の時笞吞圓米翁の弟子ビなつだ。この時弟泰 (吞花圜)も同門、てあった。