施設栽培における最近の環境制御技術

摘要

近年は，気象環境の変動が激しく，屋外が中心となる農業生産を安定的に行うことが難しく なってきている。今年も，天候不順のため野菜の価格が高騰し大きな問題となった。その中で 施設園芸は，作物の栽培環境をコントロールできるため安定した生産が可能となるため注目されている。10年ほど前までは，単純な温度管理による環境制御が実施される場合が多かったが，近年は，高度な環境制御に注目が集まっている。環境制御が注目されている理由としては，燃 油価格が安価でなくなったことが大きいと思われる。加温して栽培する作型では農業経費の中 で光熱費のしめる割合が大きく，何らかの対策をとる必要がある。対策の一つは，燃料代を抑えるため保温を徹底し，安価なエネルギ源を利用して加温することである。もう一つは，同じ ように燃料を利用して栽培するのであれば.施設内で栽培する作物の収量を向上させたり，品質を高めたりして対応しょうとすることであろう。省エネルギに関しては30年以上前に詳細な研究がおこなわていて，当時開発された技術を現在の状況にマッチさせることで対応できる。 後者については，近年，植物工場のブームなどもあり注目されている分野であるといえよう。