ブドウのクビアカスカシバの生態について

摘要

本虫の詳しい生態はほとんど明らかにはさ れていませんが，これまでに行った調査及び 試験結果を踏まえ，現時点で把握している本 虫の生態を，被害も交えて紹介します。また， これから本虫の発生時期をむかえますので，今シーズンに行える対策についても併せて解 説します。本虫の成虫はスズメバチに似て おり（グラビア写真1)，体長が約3cm,翅をひろげたときの幅が 約4.5cmの大型の蛾です。年に1 回発生し，日中に広範囲にわたつ て飛翔すると考えられています。 昨年，普及指導センターの協力 を得て，県内各地に本虫の性フエ ロモントラップを設置し，誘殺消 長を年平均気温帯別に平均し，比 較したものが図1です。県内での 発生時期は概ね6月ー8月が中心 ですが，県南では5月中旬ー9月 上旬までとやや長く，年平均気温 力《低くなるに従い発生時期は短く なるようです。発生量は県中北部 で比較的多く，県南や高冷地では 比較的少ないようです。明瞭な発 生盛期はいずれの年平均気温帯でも認められませんでしたが，6月中下旬と8 月上中旬に比較的多い様です。また，同じ年 平均気温帯でも，誘殺が始まる時期あるいは 誘殺されなくなる時期には1ヶ月程度のばら つきがあることがわかりました（図2)。